【第1章】予定は未定⑤
2009 年 8 月 31 日 月曜日
「放課後に屋上に来てください」
彼女のさっきの一言のせいで頭の中はほぼパニック状態である。もう授業どころではない。ちょっと待ってくれ、まだ会って5時間ないぐらいだ。フラグ(告白的な意味で)がたつにはあまりに展開が急すぎるし、何がトリガーになったかがまったくわからん。隣に転校生が来た時点でフラグがたつのか?そんなはずはない。そもそも、本当にたっているのはそのフラグなのか、むしろ、教師がヤクザであることを考えるとたっているのは死亡フラグなんじゃないか?この子は良い子そうであるが、実はクラスのスケバン的な何かで、「放課後に屋上にきてくださいね。この学校の法律を体に刻んでやるよ」と解釈するのが正しいのではないか。いやいや、そんなはずは・・・・
考えれば考えるほど、「冷静」と言う言葉から遠ざかる。気がづけば、放課後になっていた。終業のホームルームが終わると彼女は颯爽と教室から消えた。もう考えたところでどうしようもない。どのフラグがたったところで、あの子との約束を敗れるはずもない。約束の場所へ一歩一歩足を進める。そして、屋上に出る扉を開ける。
嘘ように晴れ渡った空はその色を橙色に染め、日と影がはっきりと分かれ、全ての物が止まっているようだった。居れば居るほど感覚が影に蝕まれていくような錯覚に陥った。唯一、9月のすこし肌寒い風だけがこの世界が止まっていないことを教えてくれたことが救いだった。そんな亜空間のような世界の中に三つの影が僕を待っていた。
